会社の飛躍と事業承継

富士市商工会

2018年02月28日 21:05

 富士市商工会青年部で企画した全2回の事業承継研修会、
第1回の終了後に、講師の静岡県事業引継ぎ支援センター・清水至亮統括
より、受講者に対し、宿題を頂きました。
 宿題と言っても、第1回の研修会で学んだ中でもっと深く学びたい事項や、
受講者である若手後継者・経営者が自社の事業承継について
抱えている課題を挙げてもらうことです。
 受講者から個別の要望を受け、それらについて第2回の研修会で
清水統括からご指導を頂きます。

 そこで、青年部員はじめ受講者の皆さんに、更に深く学びたい事項
について、第2回研修会の前に事前提出をお願いすると…

・社長(父)から株式を贈与してもらうけど、株式評価額が高い場合
 評価額を下げるにはどうすれば良いか?下げる場合のメリット・デメリットは?

・自分は父から代表権を譲り受けたばかりだが、社員は年上ばかり。
 何から取り組んでいけばよいか?

・経営者として身に着けていなければいけない資質は?財務の知識は不可欠?

などなど等々、とても真剣な質問や要望がいっぱい。

 事業承継研修会の第2回当日(2月23日(金))。
 まず、講師の清水統括から、事前に受けた質問や要望に対し、
丁寧にご回答を頂きました。


「社長に就任した後、何か新しい事をしないといけないと
 焦ってしまいがちですが、敢えて『変えない事』も重要です。
 まず、自分が何をすべきか、じっくり調べ、考える事も大事です。
 先代の社長が行ってきた事をはじめ、社内で守られてきたものに、
 良いものも沢山あり、それらを受け入れ、受け継ぐことも大事です。」

「社長が身につけるべきスキルとして、やはり会社の事を
 数字で把握するためにも、簿記の知識は重要です。
 合わせて、営業力や技術力など、現場に立つ個人としての能力も
 重要ですが、人間としての魅力、事業を企画し導いていく力が必要です。」

「ベテラン社員の定年退職に備え、若手社員に技術を伝えていく事も
 大きな課題になっています。
  技能を教えるベテランと技能を教わる若手でペアを作って、
 一緒に作業をしながら技能を伝えるような取組も良いです。」

などなど等々、丁寧な説明を受け、受講の皆さんも集中して聴講。

 続いていよいよ、M&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)についてご説明頂きまして…

「M&Aの手法には、株式譲渡事業譲渡があります。
 株式譲渡のほうが手続きは簡便で、
 事業譲渡より多く用いられています。
 事業譲渡のほうが、手続きが大変ですが、
 希望する事業のみを引き継げる等、
 中小企業に適している面があります。」

「M&Aは、進出希望業界のノウハウなどが乏しい買い手と、
 事業を続けたい売り手、双方にメリットがある取組です。
 売り手企業が持っている業界や地元での信頼は、
 買い手企業にはとても価値がある資産であり、
 従業員の雇用や客・取引先との関係を守れる事は
 売り手企業にとても大事な事です。」

などなど等々、ここではとても報告しきれない
(しかもこれ以上書けば資料転載のコードにかかってしまうので自主規制)
のですが、事業承継の一つの手法であるM&Aが、
自社の飛躍を目指す企業に、とても有効である事を
丁寧にご説明頂きました。
 まさにM&Aは、これから地域経済を担っていく
若手経営者にとって、とても重要な取組なのです。


最後、時間を延長して質疑応答からのディスカッション。

「事業を引き継ぐためには、やはり親子、家族での
 コミュニケーションがとても大事なんです。
  普段、親子同士、家族同士で話すことが
 難しいこともあるかもしれませんが、会社の事で
 昔の苦労話なんかをお父さんから聞いたりして
 経営者の『思い』をしっかり受け止める事が
 事業を引き継ぎ、発展させるために必要です。
  そして、家族で集まって会社の事業の事を話し、
 創業家として事業を始めた『思い』を共有する事も
 不可欠です。」

などなど等々、事業引継ぎの結構テクニカルな話まで
出てきて、盛り上がりのうちに全2回に渡った研修会が終了。
清水統括、この度は事業承継につきまして
貴重なご指導を賜り、誠にありがとうございました。


 事業承継の取組の真っただ中にある青年部員の皆さんはじめ
若手後継者・経営者の皆さん、とても真剣に受講されており、
商工会としましても、事業承継支援をより一層
推進していくべきことを確認することができました。

富士市商工会の事業承継支援につきまして、
清水統括がおられる静岡県事業引継ぎ支援センターをはじめ
専門機関、専門家の指導、協力を受けながら
内容を充実させて参りますので、宜しくお願いいたします。

(文責 事務局加藤)